第4号 魔物がすむ島、沖縄?

第3号で沖縄の美味いものを取り上げましたが、勿論、これが全てではありません。
黒糖と島塩、泡盛、そして醤油といった単純な味付けが基本で中心。私が美味いと感じているのは、私が飲兵衛だからかもしれません。日本酒の冷やには、塩だけで良いという人もいるようですが、これほど健康に悪い飲み方もないでしょう。料理の味は淡白であっても(淡白なほうがいい)、良質のたんぱく質さえ摂れれば、ビールや酒は美味いですね。実は、前号でも書いたアイスバインに美味いビール(やはりエーデルピルスでしょう、大袈裟ではなく世界一美味いビールです、沖縄でも飲めるのです!)の組み合わせが私は大好きです!沖縄料理がビールや泡盛にマッチするもうなずけるのです。
シークワ―サーの酸味は強いですが、全ての料理に振りかけて食べます。実は、この使い方を覚えてしまうと、沖縄料理はさらに美味くなってしまいます。私は東京の自宅でも実践しています。島らっきょも海ぶどうも沖縄ならではの食べ物です。また、パイナップル、マンゴーなど、亜熱帯の果物も一味違います。
さて、今回も美味いものを採り上げるのでしたっけ?ここまでにしましょうね(沖縄の表現)。

 

本日の本題に入る前に豆知識。
最近のテレビCMで「トヨタのパッソ」を見たことがありますか?前回は津軽弁でしたね。では今回は?「ムムマッシュする」なる言葉が出て来ますが、聞き取れないし、意味不明ですよね。実はあれは宮古島の方言だそうです。で、意味は?
ここで解説。本土では言うまでもなく「a」「i」「u」「e」「o」が発音されますが、沖縄では、「e」は「i」、「o」は「u」で発音されます。3音しか発音できないのかしないのかは分かりませんが、事実なのです。したがって「酒」は「サキ」、「ソーメン」は「ソーミン」、「星」は「フシ」なのです。「米」は「クミ」。「三線」は「サンシン」、「名護」は「ナグ」。したがって、「ムム」とは「もも」(太腿)のこと、「マッシュ」とは「枕」のこととすると、「ムムマッシュ」はいわゆる膝枕、ということになります。なるほど、CMで女性が示す仕草はまさに膝枕ですよ。
でも沖縄にはそれぞれの島、地域にそれぞれの方言があって、現在その方言を保存する県民がかりで(国がかりで)の活動が進行しています。実際に、沖縄の言葉でちゃんと話をされると全く分かりません。でも、「めんそーれ」ぐらいは皆さん知っていますよね、それと具志堅用高の「ちょっちゅね」(実は黒糖菓子)ぐらいでしょうか。私は最近、体のどこかをふいにぶつけた時に思わず「あがっー」なんて言ってしまうこともあります。「痛っー」って意味です。

 

さてさて、今回の本番(ムンバンって発音するのかな?)。沖縄に来て、シーサーがどの家のどの建物の入り口にあるのを誰もが目にしているはずです。左右対に置かれていますよね。右が口を開き、左が口を閉じています。そう「阿吽」です。この犬のような、獅子のような、狛犬のような、ライオンのようなものがシーサーです。歴史的にはそう古くはなく、中国から伝わってきたようです。「魔除け」の意味があるそうです。実はこうした獅子は古代エジプト文明をルーツとする説もあり、そうであれば、スフインクスがシーサーの祖先となります。

また街を歩いたり、車で道路を走っていると必ず目にするのが「石敢當」(いしがんとう)でしょう。何気なく交差点やT字路の突き当たり、建物の角に「石敢當」と書かれた石(岩板?)があります。後から置いたのではなく、建造する際に基礎部分として最初から計画して収められている感じですよね。私は、もしかしたら本土にもある建物の「礎」の類かな、と思っていましたが、いやいや、これも「魔除け」だそうです。

 

実はもう一つ「魔除け」があることを発見してしまいました。お土産屋さんに置いてあった貝がそれです。「スイジ貝」と言いますが、6本の足のような突起をもった際立った形をしている貝です。不思議なオーラを発しているわけでもないのでしょうが、その形に魅入るか、あるいは妖気を感じる人もいるかもしれません。これも家の入口に飾って「魔除け」としているそうです(沖縄では、貝細工の置物がキレイです、フク貝は「福」が来ると信じられています)。
沖縄にはそれほど魔物がいるのでしょうか?ここからが興味深い話となります。

 

先日、斎場御嶽(セーファーウタキ)というところに行ってきました。沖縄本島の南東部、九高島を沖に見る位置にそれはあります。大きな岩の隙間から彼方の九高島が望めます。難しい説明をすると長くなってしまいますので簡単に説明しますが、御嶽(ウタキ)とは琉球時代から人々が神々と繋がる聖地であり、数か所ありますが、斎場御嶽は最も神聖な御嶽とされています。水平線彼方からやってきた神を迎え、祀る神聖な場所なのです。古くから人々は天地の神々を祀ってきましたが、垂直方向の神(天の神)と水平方向の神(海の神)のもとでの日々の平和を祈ることが信仰の基本でした。
琉球はまさに、そうした神の国としての意識が極めて強く、明・清に朝貢し、江戸幕府に従いながらもその独自性を保つことが出来たのは、政治的な器用さ、文化的な寛容さとともに宗教的な熱心さがあったからではないかと素人ながら考えています。
併せて、今年の台風は半端ではなかったのですが、「ナンクルナイサ」と感じられる背景には、常に神々に祈り、あらゆる「魔除け」をしているのだから心配はないさ、と感じている結果なのではないでしょうか。
「石敢當」は「敢て当たる石」という意味ですから、自分達は尻込みするのではなく、危機に果敢に挑んでいるのだ、あるいはそれをこれらに「代行」してもらっているのだ、という姿勢が表現されているのでしょう。

沖縄の宗教事情は私より詳しい人が大勢いるはずです。私の解釈、間違っているかもしれません。コメント、お願いします。

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コメント: 3
  • #1

    29期 sana (火曜日, 09 9月 2014 11:53)

    パッソに乗ってます!小回りきいて、5人乗れて、満足度の高い車です♪
    シーサーは私の部屋にもいます。沖縄に行くとどうしても買いたくなるんですよねぇ。
    毎号色んなテーマでとても楽しく読ませて頂いてます。ありがとうございます!

  • #2

    マル (火曜日, 09 9月 2014 11:54)

    「自分達は尻込みするのではなく、危機に果敢に挑んでいるのだ」
    島の方に説明を受けたわけではなく、先生の解釈ですよね。

    好きです。その読み解き方。

  • #3

    23期 トヨコ (火曜日, 09 9月 2014 12:15)

    マイナス8℃の札幌から逃亡して今日これから沖縄です
    ナベ先生に連絡しようかと思いましたが、 自由時間がないので((T_T))
    また次回、ダイビングライセンス取りに来た時にあらためてご連絡致します。美味しいヒージャー食べたいです。